2020年 12月 第3巻 第1号 掲載 原著論文査読あり
要 旨
本研究の目的は,大学生の年上の人に対するコミュニケーションのうち,適切な自己主張(アサーション)と,年上の人との関係の中で生じるストレスへの対処行動(ストレスコーピング)の関係について調べるとともに,それが過剰適応と関連するかどうか検討することであった。大学生142 名(男性65 名,女性77 名,平均年齢19.87 歳)を対象に調査を行った結果,多くの大学生は高圧的な年上の人が苦手であり,気を使いながら接していることが示された。また,年上の人に対してアサーション行動ができる人は,年上の人との関係でストレスが生じたときに積極的に関係を構築したり,気持ちを切り替えたりするなどのコーピングスキルを使用することが分かった。過剰適応傾向については,アサーションスキルの一つである「説得交渉」スキルと関連がみられ,過剰適応傾向を軽減するための重要な要因であることが明らかになった。
キーワード : 大学生・アサーション・ストレスコーピング・過剰適応・年上の人とのコミュニケーション
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2020, Vol.3, No.1, pp.13-20