第1巻 第1号(2018年12月)

2018年 12月 第1巻 第1号 掲載

  • 巻頭言

  • 「神戸学院大学心理学研究」の発刊にあたって
  • 心理学部長 秋 山  学

 このたび,神戸学院大学心理学部の紀要として,「神戸学院大学心理学研究」を刊行する運びとなりました。神戸学院大学心理学部は,人文学部人間心理学科(2004 年 4 月開設)を母体に,本学の 10 番目の学部として 2018 年 4 月に発足いたしました。心理学部は神戸学院大学においては学生定員の最も少ない学部でありますが,心理学を専門とする教員・実習助手が一つの学部に 25 名も勤務する大学は全国でもまだ少数に留まります。心理学部は国内における大規模な心理学教育・研究を担う拠点を形成しつつあるといえます。
 本誌は,新たに発足した心理学部の教育・研究活動をさらに活性化し,その学術的成果を社会に還元すること,すなわち,「社会に生きる」心理学を標榜する本学部の目標達成のための礎となる雑誌となることを目指しております。このため,学術講演会などの講演録の掲載や,原著論文・研究報告といった本学部の教職員および大学院生などによる学術的成果の公刊に留まらず,教職員の教育活動や,社会貢献といった大学外での活動,そして,大学内での各種業務といった様々な活動の報告(次号に掲載)もおこないます。
 本誌の刊行によって,心理学部の基礎的研究と応用的研究の双方の発展を促し,本学部の教育・研究活動の質的な向上を図ることは,心理学の発展を考える上でも意義深いものであります。応用的研究というと,基礎的研究を日常生活が営まれる現場やフィールドにおいて応用することを指すと見なされがちです。しかし,公認心理師という本邦において初めてとなる心理学の国家資格が誕生した今,公認心理師を中心とする心理専門職の活動を支えるような,種々の問題や課題の解決に寄与することを目論んだ新しい基礎的研究が応用的研究として心理学に期待されています。本誌においても,こうした新しい基礎的研究が発表され,心理学の新たな展開を生み出すことを願っております。