第3巻 第2号(2021年3月)

2021年 3月 第3巻 第2号 掲載 研究報告査読なし

  • 児童期における家族機能への認知と抑うつの関連に対する
    ネガティブな反すうの調整効果の検討
  • Examining the mediation effect of negative rumination on the relationship between cognition
    on family functioning in childhood and depressive symptoms
  • 濱本 実花(神戸学院大学心理学研究科心理学専攻)
  • Mika Hamamoto(Graduate School of Psychology, Department of Psychology, Kobe Gakuin University)
  • 村山 恭朗(神戸学院大学心理学部)
  • Yasuo Murayama(Department of Psychology, Kobe Gakuin University)

要 旨

 近年,大学生における抑うつの蔓延が報告されている。これまでの研究において,抑うつと関連する変数として,子どもが認知する家族機能やネガティブな反すうが指摘されている。しかし,家族機能の認知とネガティブな反すうの相互作用が如何に抑うつと関連し得るかに関して十分な検討は行われていない。そこで本研究は,大学生を対象として児童期の家族機能への認知と抑うつの関連に対するネガティブな反すうの調整効果を検証することを目的とした。大学生86 名(男性31 名,女性55 名, 20.44 ±1.36 歳)を対象とした。抑うつを目的変数とする重回帰分析を行ったところ,家族内の勢力とネガティブな反すうの交互作用が有意傾向を示した。単斜分析の結果,ネガティブな反すうが高い学生では,家族内の勢力が低いと認知するほど抑うつが強いことが示された。この結果の一端には,勢力が高い家族では家族からのサポートが得られるため,ネガティブな反すうによる抑うつ悪化の効力が減弱されることが示唆された。本研究の調査は児童期を想起する回答形式であったが,今後は現在の家族機能への認知も考慮する必要がある。

Key words : 家族機能への認知,ネガティブな反すう,抑うつ

Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2021, Vol.3, No.2, pp.73-80

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