2021年 3月 第3巻 第2号 掲載 研究報告査読なし
要 旨
近年活動が拡大しているコミュニティカフェであるが,心理専門職による支援は発展途上にある。本論では,コミュニティカフェ(以下カフェ)の特徴を概観した上で,心理専門職による支援の可能性について検討した。カフェの特徴として,カフェのスタッフと客(メンバー)の関係は対称関係にあり,相互的な仲間関係にあること,その機能は「共生食堂」型か「ケア付食堂」型に分類されることが示された。カフェへの支援モデルとして,コミュニティアプローチの導入が示唆された。カフェでは,メンバー間によるソーシャルサポートが存在するが,心理専門職は,ソーシャルサポートが適切に機能するよう介入する役割が示唆された。カフェでの心理専門職の基本的な態度として,ある程度の自己開示をしつつ,常に傾聴する姿勢の重要性が考察された。そうした心理専門職のカフェでのあり方はコミュニティにおける「聴く耳」としての存在であることが提唱された。
Key words : コミュニティカフェ,心理支援,コミュニティアプローチ,ソーシャルサポート,「聴く耳」
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2021, Vol.3, No.2, pp.81-86