第6巻 第1号(2023年12月)

2023年 12月 第6巻 第1号 掲載 研究報告査読あり

  • コロナ禍におけるワーク・ファミリー・バランスの決定要因の検討
  • Examining determinants of work-family balance under the corona pandemic
  • 松田  涼(神戸学院大学心理学研究科)
  • Ryo Matsuda(Graduate School of Psychology, Kobe Gakuin University)
  • 中川 裕美(神戸学院大学心理学部)
  • Hiromi Nakagawa(Department of Psychology, Kobe Gakuin University)

要 旨

 コロナ禍におけるワーク・ファミリー・バランスについて検討するために,家庭との同居世帯における20~50歳代の労働者613名(男性293名,女性319名,その他1名)を対象にWEBによる自己回答式の調査を実施した。その結果,コロナ禍テレワーク経験あり群ではWFPSに対して「時間管理」による正の影響が示され,「中学生以下の子どもあり」による負の影響が示された。次にコロナ禍のテレワーク経験なし群ではWFPSに対して「自尊感情得点」において正の影響が認められた。また,コロナ禍のテレワーク経験あり群ではFWPSに対して「中学生以下の子どもあり」による負の影響が確認された。さらに,コロナ禍のテレワーク経験なし群ではFWPSに対して「時間管理」と「自尊感情得点」による正の影響が認められた。本研究は横断的な量的調査による結果に過ぎないため,今後はコロナ禍における変化がもたらしている労働者のワーク・ライフ・バランスへの影響について,質的な側面からも検討していく必要があると考えられる。

Key words : corona pandemic, telework, work-family balance, positive spillover, role enhancement hypothesis.
キーワード : コロナ禍,テレワーク,ワーク・ファミリー・バランス,ポジティブ・スピルオーバー,役割増大仮説

Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2023, Vol.6, No.1, pp.49−56

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