2023年 12月 第6巻 第1号 掲載 研究報告査読あり
要 旨
本研究では,クラウニング講座の矯正教育における意義に焦点を当て,文献研究を行った。クラウンのイメージは大道芸や宮廷道化師に限定されることが多いが,20世紀以降,「ケア」の観点からのアプローチが生まれ,医療分野のクリニカル・クラウンや,福祉や司法の現場におけるクラウニングの実践が行われてきた。本研究報告では,社会福祉法人かがやき神戸,および播磨社会復帰促進センターで実施されてきたクラウニング講座を対象として,その教育的意義と臨床可能性について探索的に検討した。脇中他(2018)などの先行研究をもとに,昨今の刑事施設における矯正教育の動向を踏まえつつ,クラウニングに迫る際の身体性の議論について整理した。特に,アプターの反転理論のテリック/パラテリック状態の区分から,クラウニング講座の受講者のモチベーションや受講への抵抗感との関係,他のプログラムとの位置づけについて分析を行なった。今後の展望として,クラウニング実践における身体性へのさらなる着目のため,表情や動作に着目した観察研究が重要であることが示唆された。
Key words : correctional education, clowning, embodiment.
キーワード : 矯正教育,クラウニング,身体性
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2023, Vol.6, No.1, pp.57−66