2018年 12月 第1巻 第1号 掲載 原著論文査読あり
要 旨
我が国において,やせの遷延化は深刻な問題となっている。過剰なやせ状態のリスク因子として,様々な変数が指摘されており,痩身プレッシャーはその一つである。近年,他者から受ける痩身プレッシャーに関する尺度(大学生用痩身プレッシャー尺度,Pressure for Thinness Scales for College Student; PTS)が開発されたが,PTS は大学生用であり,大学生期以降の成人に安易に適用することは困難である。そこで本研究は,他者から受ける痩身プレッシャーを測定する自己評定式尺度の成人版(痩身プレッシャー尺度,Pressure of Thinness Scale; PTS)を開発し,その信頼性と妥当性を検討することを目的とした。質問紙調査を行い,女性 1500 名(35.21 ± 7.70 歳)を対象に分析を行った。因子分析の結果,3 因子 11 項目が抽出された。PTS は高い信頼性を示し,食行動異常,メディアから受ける痩身プレッシャー,体型不満に関する 3 つの外的基準との間に中程度の相関関係を示した。これらの結果から,PTS は高い信頼性と妥当性を兼ね備える尺度であると考えられる。
キーワード:食行動異常・痩身プレッシャー・体型不満
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2018, Vol.1, No.1, pp.11-16