第4巻 第1号(2021年12月)

2021年 12月 第4巻 第1号 掲載 研究報告査読なし

  • 攻撃性が自己嫌悪に結びつく要因の検討
  • A study on the factors that allow aggression to lead to self-disgust
       
  • 夏目 瑞希(神戸学院大学心理学研究科心理学専攻)
  • Mizuki Natsume(Graduate School of Psychology, Kobe Gakuin University)
  • 本岡 寛子(近畿大学総合社会学部)
  • Hiroko Motooka(Faculty of Applied Sociology, Kindai University)
  • 道城 裕貴(神戸学院大学心理学部)
  • Yuki Dojo(Department of Psychology, Kobe Gakuin University)
  • 村井 佳比子(神戸学院大学心理学部)
  • Keiko Murai(Department of Psychology, Kobe Gakuin University)

要 旨

 近年,いじめ問題が深刻になっている。いじめ被害者だけでなく,加害行為を示す者も高い抑うつ状態であることが報告されており,支援の必要性が指摘されている。そこで本研究は,攻撃性が自己嫌悪に結びつく要因について検討し,支援の手がかりを得ることを目的とした。大学生132名(20±1.88歳)を対象に質問紙調査を行った。攻撃性高群と低群について,攻撃性が攻撃後の認知を媒介して自己嫌悪に陥るというモデルの検証を行ったところ,攻撃性高群においてモデルが支持され,攻撃性が高い場合,攻撃後の認知が自己嫌悪に影響することが示された。攻撃後の認知の中でも特に対人不安的認知が高いほど攻撃性が高いことが示されており,これが自己嫌悪や抑うつ状態を引き起こす要因となっていることが推測された。支援には,対人不安的認知を緩和するための認知的アプローチに加えて,怒りの感情に対処しつつ,対人不安を乗り越えて他者と良好な関係を構築するためのコミュニケーション技術訓練が有効であると考えられる。

Key words : 攻撃性,自己嫌悪,攻撃後の認知,社会的望ましさ

Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2021, Vol.4, No.1, pp.41-46

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