第5巻 第1号(2022年12月)

2022年 12月 第5巻 第1号 掲載 原著論文査読あり

  • 大学生のひきこもり親和性とレジリエンスの関連
  • Correlation between affinity for withdrawal and resilience in college students
  • 佐野 春菜(神戸学院大学心理学研究科)
  • Haruna Sano(Graduate School of Psychology, Kobe Gakuin University)
  • 村井 佳比子(神戸学院大学心理学部)
  • Keiko Murai(Department of Psychology, Kobe Gakuin University)

要 旨

 本研究の目的は,ひきこもり親和性とレジリエンスとの関連を調べ,レジリエンスのどの要素とひきこもり親和性が関連するのかを検討することで,ひきこもりを予防するために何が必要かを見出すことであった。大学生343名を対象に調査を行い,大学生用ひきこもり親和性尺度と二次元レジリエンス要因尺度(BRS)の各因子の関係を検討した。重回帰分析の結果,資質的レジリエンス要因の高さが,「ひきこもることへの願望」の低さと関連すること,また,資質的レジリエンス要因「統御力」「社交性」の高さが,「ひきこもる人への共感」の低さと関連し,獲得的レジリエンス要因「他者心理の理解」の高さが,「ひきこもる人への共感」の高さと関連することが示された。「ひきこもることへの願望」は資質的レジリエンスと関連が深く,ひきこもり状態に移行するきっかけを作る可能性があることに対し,「ひきこもる人への共感」は,より良い人間理解につながる能力であることが示唆された。

Key words : affinity for withdrawal, resilience, innate, acquired, college students.
キーワード : ひきこもり親和性,レジリエンス,生得的,獲得的,大学生

Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2022, Vol.5, No.1, pp.31-37

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