2022年 12月 第5巻 第1号 掲載 原著論文査読あり
要 旨
本研究の目的は,留学生に日本文化的スキルを身につけてもらうSSTプログラムを作成すること,そして,プログラムの中国人留学生に対する即時的向上効果および持続効果を検証することである。先行研究を参考に,文化共通のスキルと日本文化的スキルのそれぞれをトレーニングできるプログラムを作成した。中国人留学生22名を実験群とし,作成されたプログラムを実施した。また,別に収集した中国人留学生252名の社会的スキル尺度のデータを用いて,比較群とした。実験群内における測定時期の比較,そして,実験群の各測定時期と比較群のそれとの比較という2種類の分析を行った結果,中国文化的スキル尺度の得点に変化が見られず,文化共通のスキルと日本文化的スキル尺度の一部に得点の向上がみられた。しかし,3ヵ月後の持続効果はごく一部の尺度に限定されていた。これらの結果を踏まえ,本研究で作成したプログラムの有効性を確認できた。今後,中国人留学生への普及が期待される。
Key words : Japanese cultural social skills training, Chinese international students, effectiveness.
キーワード : 日本文化的社会的スキル・トレーニング,中国人留学生,効果性
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2022, Vol.5, No.1, pp.39-52