第6巻 第1号(2023年12月)

2023年 12月 第6巻 第1号 掲載 原著論文査読あり

  • うつ病による休職経験がある労働者のプレゼンティーイズムと関連要因の検討
  • Examination of presenteeism and related factors of workers who have taken leave due to depression
  • 中川 裕美(神戸学院大学心理学部)
  • Hiromi Nakagawa(Department of Psychology, Kobe Gakuin University)

要 旨

 本研究では,うつ病による休職経験がある労働者のプレゼンティーイズムの関連要因および抑制要因について検討するために,うつ病による休職経験がある労働者と,メンタルヘルスによる休職経験のない労働者を対象にWEBによる質問紙調査を行い、その要因について比較検討による分析を行った。その結果,うつ病の休職経験者は,相対的にプレゼンティーイズムや仕事によるストレスを高く経験しており,上司・同僚サポートやワーク・ファミリー・バランスを低く評価していることが示された。また,休職経験の有無にかかわらず,SCネガティブ因子が低く,MAASが高いほどプレゼンティーイズムは低く,うつ病による休職経験者においては,心理的な仕事の負担(質)やWFBSJの低いほどプレゼンティーイズムが高い傾向にあることが示された。以上の結果から,うつ病による休職者への復職支援には,症状へのケアや業務量の配慮だけでなく,再発予防を目的としたマインドフルネスのトレーニングやワーク・ファミリー・バランスの振り返り,仕事の質的な負担軽減につながる支援を充実させていくことが必要と考えられる。

Key words : leave of absence due to depression, presenteeism, occupational stress, mindfulness, work-family balance.
キーワード : うつ病による休職,プレゼンティーイズム,職業性ストレス,マインドフルネス,ワーク・ファミリー・バランス

Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2023, Vol.6, No.1, pp.21−28

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