2024年 12月 第7巻 第1号 掲載 原著論文査読あり
要 旨
本研究は,モンテッソーリ教育を手がかりに,教育内容に関する知識や経験の違いによるモンテッソーリ教育へのイメージや期待の差を検討し(調査1),さらに,モンテッソーリ教育に関するレクチャーの前後でイメージや期待にどのような変化があるかを調べることで(調査2),乳幼児をもつ保護者に対して適切な情報提供のあり方を検討することを目的とした。調査1の結果,モンテッソーリ教育において,主体性を育み,創造性を伸ばすというイメージが定着しており,その効果としても実感されていることがわかった。その一方で,モンテッソーリ教育の効果を感じられないとの回答もあった。調査2の結果,レクチャーを受講することで,モンテッソーリ教育の「主体性・創造性」のイメージを促進するとともに,育児のなかですでに実行できていることに気づき,育児への義務感が低減する効果があることが示された。子育て関連の情報の一部は正確に伝わっておらず,時にはそれが適切な保育を阻害する可能性があるが,しかし,これをふまえて丁寧に情報伝達することで,役立つ支援につながることが示唆された。
Key words : parents of infants, preschool education, Montessori Education.
キーワード : 乳幼児の保護者,就学前教育,モンテッソーリ教育
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2024, Vol.7, No.1, pp.1−12