2024年 12月 第7巻 第1号 掲載 原著論文査読あり
要 旨
本研究は,小学生の子どもを持つ保護者が発達障害に対してどの程度正しい知識を有しているかを調べ,発達障害がある子どもによりよい支援を提供するための手がかりを得ることを目的とした。小学生の子どもを持つ保護者200名を対象に,発達障害の認知度,発達障害がある児童とのかかわりの有無,発達障害に関する基本的知識,発達障害に対する意識について質問紙調査を行った。その結果,保護者の発達障害に対する認知度は95.5%となっており,発達障害に対する正答率も90%を超える項目がある等,正しい理解が進んでいることが示された。発達障害がある児童とのかかわりの有無による差については,正答率に大きな差は見られず,かかわりの有無による発達障害の基本的な知識には差がないことが示された。一方,意識の「理解と交流への意欲」「社会の役割」については,かかわりがある群の方が高く,発達障害がある児童のよりよい支援環境を構築するには,保護者も含めた子ども同士の相互交流の機会や適切な情報提供の場を増やすことが必要であることが示唆された。
Key words : parents, elementary school children, developmental disorder.
キーワード : 保護者,小学生,発達障害
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2024, Vol.7, No.1, pp.27−33