2025年 3月 第7巻 第2号 掲載 研究報告査読なし
要 旨
本研究は,日本におけるこれまでのHighly Sensitive Person(HSP)に関する心理学的研究について概観し,特にHSPの持つ「美的な感受性」に注目して検討することを目的とした。自己記入式の心理尺度として開発されたHighly Sensitive Person Scaleの日本版であるHSPS-J19を用い,HSP特性と自尊感情や特性不安,精神的健康などの心理変数との関連を検討した文献7件を対象とした。結果,低感覚閾と易興奮性の因子と美的感受性因子とは結果が異なり,美的感受性因子は自尊感情などのポジティブな変数と正の関連を示した。すなわちHSPは高い感覚感受性の生きづらさのみを抱えて生きているわけではなく,むしろより多くのポジティブな感情が生起されることもあると考えられた。ただし,美的感受性因子の信頼性係数はα=.57であり,やや不安的な因子である。この因子の安定性について今後検討していくことが必要であろう。
Key words : Highly Sensitive Person, aesthetic sensitivity, psychological factor, Japanese study.
キーワード : HSP,美的感受性,心理的要因,日本の研究
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2025, Vol.7, No.2, pp.81−90