2025年 3月 第7巻 第2号 掲載 研究報告査読なし
要 旨
本研究では空想と攻撃性との関連の検討を行った。大学生178名(男性74名,女性103名,その他1名)を対象にBAQ日本版Buss-Perry攻撃性質問紙と空想内容についての自由記述を含めた質問紙を用いた質問紙調査を行った。各空想内容と性別を独立変数,各攻撃性と全攻撃性を従属変数として二要因分散分析を行った結果,空想の有無・空想内の自死の有無・他死の有無において主効果が見られた。空想の有無では短気性・敵意性・身体的攻撃性・全攻撃性の4つ,空想内の自死の有無では短気性・敵意性・全攻撃の3つ,空想内の他死の有無では敵意性の1つで主効果が見られた。そのすべての結果から,空想は攻撃性と関連のある日常的解離であり,行動化する前の攻撃性が高いほど,自身が被害を受ける空想を行うことが示された。これは現実世界における欲求不満,すなわちうまくいかないという被害が,空想内においても自身が被害を受けるという内容として表れているのだと考えられる。
Key words : everyday dissociation, fantasy, aggression.
キーワード : 日常的解離,空想,攻撃性
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2025, Vol.7, No.2, pp.91−99