2019年 12月 第2巻 第1号 掲載 原著論文査読あり
要 旨
脳幹梗塞後に,注意・知能は保たれているにも関わらず,行動障害をはじめとする前頭葉機能障害を呈した一例を経験した。症例は,74歳,右利き男性。複視で発症し,MRIにて両側の中脳から橋に梗塞巣を認めた。急性期から,状況に適した行動がとれない,ルールが守れない,こだわりが強いなどの行動障害,セットの変換障害,保続,反応抑制障害など前頭葉機能の低下を示す症状が前景に立っており,6ヵ月後も残存していた。発症機序として中脳皮質系ドパミン神経ネットワークの障害が推測された。
キーワード:ドパミン系,行動障害,前頭葉機能障害
Key words : dopaminergic pathways, behavioral impairment, frontal lobe dysfunctions
Kobe Gakuin University Journal of Psychology
2019, Vol.2, No.1, pp.9-14